「夢オチ3」

 
すげえ。
何だこれは。
空からたくさんお金が落ちてくる。

夢みたいだ。
大量の札束と、大量の小銭。
小銭が体に当たると、少し痛い。

いや、少しどころではなかった。
ドスッ!ドスッ!ゴス!ドスッ!ドスドスゴスゴスドスドス!!!!
凶器の雨。

地獄だ。

家が潰れた。
人も潰れた。
地球が潰れた。

俺は生き残った。

俺だけが生き残った。

この地球、いや、このお金は全て俺のものだ!

地面には、隙間なくビッシリとお金が埋まっている。
もはやこれは地球ではないな。
金だ。
地球は金だ!

 

ガバッ!

「地球は金だ!」

 

ザワザワザワ…

 

先生「島田くん・・・正解。」

 

 

「夢オチ2」

 
何だかフワフワした気分だ。
ふと気付くと、僕は空を飛んでいた。

夢みたいだ。
こんなことが現実で起きるんだ。

僕は鳥が好きだ。
どこへでも、どこまでも、自由に飛んでいける。
鳥が、僕の憧れだった。
特に好きなのがトンビ。
海の上を自由に飛びまわるトンビを、僕はずっと見て育ってきた。
そのトンビが今、僕の横を飛んでいる。
夢が叶ったんだ。

ん、まてよ。
よくよく自分を見てみたら、トンビの姿をしているじゃないか。
僕はトンビだったのか。

すると、隣のトンビがスピードを上げ、先に飛んでいってしまった。
僕も追いかけた。

ずっと夢を追いかけてきた僕は、
夢が叶った今、トンビを追いかけている。

 
そしてトンビを追いかけてきた僕は、
目が覚めた今、時間に追いかけられている。

 

 

「夢オチ」

 
僕は夢をみた。

僕が大人になって、超大物俳優になる夢だ。
僕はとても格好よくて、ものすごい注目を浴びてて、
ものすごい輝いている。
女子にもモテモテでね。
あの子と付き合えたり、あの子とキスできたりして。

あーなんだかワクワクしてきたなあ…

夢だけど。

 
僕の20年後の夢だけど。

 

 

「卵が動いた」

 

目が覚めた。もう朝か。
僕は化粧を落とし、カーテンを左手で開けた。
冷たい世間の光が差し込んでくる。なんだかあまり寝た気がしない。
窓を右手で開けた。
世界の空気が僕を通り抜ける。

「ふう。」

今日は、なかなかいい「ふう」が出た。何だかいけそうな気がする。
僕は両手で窓を閉め、トイレに駆け込んだ。
シャーーーーーーーー
ジャーーーーーーーー
僕は後ろを振り向かずに、ドアを閉めた。

「着替える前に、朝食を食べよう」

僕は取り出しかけた着替えを放り投げ、タンスを引っくり返した。

「朝食、朝食、朝食」

僕はキッチンに飛び込んだ。

「食パン、食パンはどこだ?」

キッチンを全身でまさぐった。

「食パンがない!食パンがない!」

だんだんと僕に焦りが見えてきた。

「冷やしたか?」

すぐさま左手を伸ばし、冷蔵庫をこじ開けた。

「ない、ない、ない」

食パンがどこにもない。冷凍庫にもなかった。
昨日の夜まで、確かにここにあったのだ。僕の頭は混乱した。
全身が痩せ細ってきた。
身の危険を感じた僕は、思わずテレビを付けた。
どうやら、食パンの生産は終了したらしい。

「ふう。」

僕はリモコンを投げた。
卵が動いた。

 

『歯ブラシに見えた』

僕は食パンを諦め、冷凍していたご飯を温めた。

「おかずはどうしようか。」

即座に納豆に決まった。
納豆を混ぜる。納豆を混ぜる。納豆を混ぜる。僕は納豆を混ぜた。
カチーーーーン
ご飯が温め終わったようだ。
レンジを左手で開け、左手でご飯を取り出す。
しまった。まだ、飲み物が決まっていなかった。

「どうしよう。」

即座に烏龍茶に決まった。
僕は、納豆とご飯と烏龍茶を順番に顔の口に運んだ。
もう食パンのことなど、とうの昔に忘れていた。
今日の天気はいかがだろうか。
僕はテレビを付けた。
どうやら晴れらしい。
僕はリモコンを投げた。
何だあれは。

歯ブラシに見えた。

 

『歯磨き粉が消え失せた』

飯も食ったし、お着替えをしよう。
僕は一瞬で皿を洗うと、一瞬で着替え終わった。
何だか空気が湿っぽかったので、再び窓を開けた。
すると、日本の風が僕を乾かした。

「ふう。」

やはり今日は、いけそうな気がする。
さあ、出掛けよう。今日はデートだ。
しまった。
まだ歯を磨いていなかった。
僕は洗面所に突っ込んでいった。
歯ブラシを右手に持ち、左手で歯磨き粉を握ると、歯磨き粉が消え失せた。

 

『もう眠るしかない』

僕は歯磨きを諦め、スーッとするガムを食べた。

「美味い。」

ガムを吐き捨てると、携帯が鳴った。メールだ。

「今日のデート、3時間遅れます。」

僕は吐き捨てたガムを再び口に入れると、今度は思いっ切り吐き捨てた。

「あの女。」

携帯を布団に投げ捨てると、そこに食パンがあった。
僕は、ひとまず眠るのをやめ、食パンをこんがりと焼いた。
カチーーーーーン
食パンがこんがりと焼けた。

「食パンめ。」

僕は、食パンに噛り付いた。

「不味い。」

僕は食パンを投げ捨てた。
するとそこに、歯磨き粉があった。
僕は歯磨き粉を踏みつぶした。
その瞬間にメールがきた。

「やっぱり遅れません。」

何だか眠くなってきた。
もう眠るしかない。

 

『君は怒り狂っている』

目を覚ますと、もう外は暗くなっていた。
ピンピンポーーーーーン
インターホンが鳴いた。
玄関に転がり込み、ドアを開けると、そこには綺麗な女が立っていた。

「綺麗だ。」

その綺麗な女は、ドアを取り外すと、
ドカンと家に入り込んできて、部屋の真ん中に座り込んだ。
明るいところで見ると、そんなに綺麗ではなかった。

「そんなに綺麗ではないな。」

少し寝ぼけていた僕は、そう女に言った。
女は怒り狂った。

「君は怒り狂っている!」

 

『キスとかをした』

数分後、僕らは仲良くゲームをしていた。
夜になるにつれ、だんだんそういう気分になってきた。
女もきっとそうだろう。
僕はゲームの電源をうっかり消し、その流れでうっかり電気を消し、
女を羽交い締めにした。
女は無言だ。
無言の抵抗だろうか。
きっと心の奥底では、君は怒り狂っている。
だが僕はこの女ともう眠るしかない。
無言の女は、歯ブラシに見えた。
いよいよ、僕の心の歯磨き粉が消え失せた。
そのまま僕とその女は、朝になるまでキスとかをした。
朝になると、卵が動いた。

 

「寝言にならなかった」

 
今、君は、僕の隣で眠っている。
まるで死んでいるかのように。

しかし君は、死んでいない。
嚊がそれを物語っている。

嚊をすることで、君は生きているのだ。

君は決して寝言を言わない。
弱音も吐かない。

 
君が何か言った。

「私はもう駄目かもしれない」

 
君が初めて弱音を吐いた。

でも君は眠っていた。

 
君は寝言を言わなかったが、寝言を吐いた。

 
それは寝言にならなかった。

 

 

「音楽は破壊した」

 
今日も君はいつものように笑っている。

「何故、笑っているんだい?」

僕は尋ねた。
君は無言で僕にキスをした。

「何故君は、僕にキスをするんだい?」

君はそのとき無言で家を飛び出した。

 
僕は君を追いかけた。

そして、追い抜かした。

 
君は僕を追いかけた。
僕は逃げた。
どこまでも。
どこまでも。
誰もいないところへ。

誰も追ってこないところへ。

 
でも、そんな場所は地球上に存在していなかった。
地球上のどんな場所にいようと、
誰かが僕を追ってくる。
何かが僕を追ってくる。

僕は誰からも逃れられない。
何からも逃れられない。

 

諦めた僕は腰をおろし、音楽を奏でた。

そして音楽は破壊した。