「ポロセ」

 

なんだか眠れない。

 

明日は早いっていうのに。

眠ろうと思えば思うほど、こういうのは眠れなくなるもんだ。

無になろう。

 

何も考えるな。

無だ。

私は無だ。

 
無って何だろう。

頭の中に何も無い状態。

次から次へと浮かんでくる言葉を、一瞬で排除していく。

その繰り返し。

そもそも、排除しなければと思ってる時点で、無にはなれていないんじゃないのか?

 

というか、無についてこんなにも考えてしまっている。

 

ダメだ。

 

何も考えず、無になるのだ。

 

私は無だ。

 

無だ。

 

無だ。

 

 

ポロセ。

 

 

 
ダメだ。

 

眠れない。

 

 

 

「カタジケハム」

 

気付くと僕は、走っていた。

 

ここはどこだ。

森だ。

木々をかき分け、僕は走る。

体は傷だらけ。

痛い。

痛い。

 

薬草を見つけた。

体中に塗りたくった。

痛い。

薬草だと思っていた草は、毒草だった。

体が紫色になってきた。

助けてくれ、助けてくれ・・・

 

声が出ない。

 

体も動かない。

 

カタジケハムも止まらない。

 

 
もう駄目か・・・

 

僕は腰を下ろし、空を見上げ、ゆっくりと目を閉じた。

 

その瞬間、生きることを諦めた僕をあざ笑うかのように、
カタジケハムが、止まった。

 

僕は悔しくて、ちょっと笑いながら、

最後に泣いた。