「足の裏」

僕は君のへそが見れない
僕は君の胸が見えない
僕は君の脇が見えない
僕は君の内ももが見えない
僕は君の尻が見えない
僕は君の大切なところが見えない

僕は君の足の裏が見たい
僕は君の足の裏が見たい

僕は君の足の裏が見たい

 

 

「雨」

雨降れば、僕は固まる
雨降らなければ、決心が固まる
雨降りそうならば、期待が固まる
大雨ならば、君も固まる

雨は、僕と君と世界と顔と心と希望と地球と自由を

固める

 

止まない雨はないが

降らない雨もない

 

雨の意志は固い

 

 

「網戸」

外と中の世界を区切る、この世で最も薄い扉
昼夜で逆転する光と闇

そうこれは、僕と君とを阻む境界線

風を通し、光を通し、音をも通すが
君のことは決して通さない
君は穴の間を通れるほど小さな存在ではないし
君には扉を開ける力もない

でも
いつも見てるよ

君のことを

宛てもなく音をたてて飛んでいる
君のことを

 

でも何で今、君は
こちらの世界にいるんだい?

そうか
この扉は、想いも通すのだね

ねえそれは、どんな想いなんだい?

 

僕は君のことが分からない

 

 

「雨宿り」

雨宿りをしていたら
ふと君が現れた

僕は君のことを知らないし
君も僕のことを知らない

そんな二人が手を繋ぎ
雨の中に跳び出した

どこまでもいける
どこまでもいける

二人は突然、立ち止まり
気付けば雨も止んでいた

いつしか二人の手は離れ
トボトボ道を引き返し
二人は再び屋根の下

荷物を手に取り歩き出した二人は

 

また他人になった

 

 

「浴びる」

シャワーを浴びながら
罵声を浴びている

雨を浴びながら
罵声を浴びている

夏の日差しを浴びて
とても気持ちいい顔をしていても
罵声を浴びている

そんな僕が
今日、初めて罵声を浴びせた

人間は涙を流して泣いた

僕は涙は浴びなかった

 

 

「アクロバットキス」

さあキスをしよう

僕が逆立ちをして

君が裸になり

僕が化粧をして

君が髪を切り

僕が全速力で走り

君が自転車に乗り

僕があのアイドルのことを考え

君が元彼のことを想い

僕が武装して

君がトイレを我慢して

僕が助走をつけて

君が全身を縛られ

僕が時を止めて

君が絶食して

僕が禁欲を重ね

君が全身を広げ

僕が飛び立ち

君が潜り

僕が宇宙から落ち

君が地底から這い上がり

キスをしよう

さあ

 

 

「蟻」

僕は君たちを一匹たりとも殺したくはない
でも殺してしまう
外を歩いてみれば
気付かぬうちに
君を殺してしまう

君たちは僕たちのことが嫌いですか?
僕たちは君たちのことが嫌いではありません
君たちもいつか僕たちを殺すのですか?
いつか進化して
その積もり積もった一族の恨みを
僕たちにぶつけるのですか?
そしたら戦争ですか?
僕たちと君たちとの
戦争ですか?

でも君たちはまだ進化しないだろうから
人間がもっと退化するべきだ