「ビルになっている」

 

朝起きたら、私はビルになっていた。

 

今までは、もちろん人間であった。
歌をうたっていた。
円満な家庭も築いていた。
起きたらビル。

考えられない。
気でも、
狂ったのだろうか。

毛などもちろんない。
声も出ない。
支えている、ただ。
下には、虫のような人間がうじゃうじゃ見える。

全てがおかしい。
世界が狂ったのか?
外の国は、今どうなっているのだ。
ただごとではないぞ、これは。
地球全体がおかしなことになっているに違いない。

 

月が出てきた。
点々と街に明かりが灯る。

トイレにいきたい。
何も下半身には、ついていないはずなのに。
荷物をたくさん背負っているみたいに、人が重い。
ぬるま湯に浸かった人間どもめ。

眠くなってきた。
野垂れ死にそうだ。

半目で街を眺めると、
光輝く
風景がみえる。

ヘドが出そうだ。

本当に出てしまった。

 

また、出てしまった。

 

みんな、気付いただろうか…。
虫は、気付いたようだ。
目をつぶったから。

もうじき朝がくる。

山が遠くにみえる。
有名な山だ。

夜が明けた。

 

ライブをする日だ今日は。

リキッドルームで。
ルイ・アームストロングのカバーを主に歌う。

列車が動き出した。

 

老人が、こちらを見上げている。

私も、老人を見下ろす。

 

ヲッカを突然、吹きかけてきた。

 

「んだコラ?!」・・・私は声を出せた。

 

 

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