台湾

2016年9月17日(土)
午前9時半

家を出て、台湾に向かう。
14時半成田発の飛行機。

今年中に行こうとは思っていたが、こんなにも早く行くことになるとは思っていなかった。
思い立ったのは、9月の前半。
3日間とれる夏季休暇とシルバーウィークを合わせ、このタイミングなら行けちゃうんじゃないかと思い、一週間前に勢いで飛行機を予約した。
シルバーウィークというのもあり、往復4万3千円と高め。
9/17(土)~9/24(土)のちょうど1週間。
日曜日までにしなかったのは、きっと感情を整理する時間が必要だと思ったから。
目的は台湾を知ること。
台湾を知り、自分が何で台湾に興味を持っているのか、何で台湾なのか見極めること。
藤野のときのように、行ったら自分が住むべきところなのか分かる気がした。
絶対に心が動く。そう信じ、こんなにも何かに期待したのは久しぶり。
もう何かに期待することなんてしばらくないと思っていたが、
こんなにしてしまったらさすがにまずいんじゃないかというくらい、出発前は期待に溢れてしまっていた。
抑えきれないワクワク。このワクワクの正体は何なのか。

日本は出張で行きまくったが、海外に行くのは人生で3回目。
小学校の頃、家族で行ったハワイ。
大学の卒業旅行で男4人で行ったグアム。
そして、今回1人で行く台湾。
10年ぶり初めて1人で行く海外。
過去2回ともすべて任せっきりだったから、本当に1人で行けるのか不安だったが、どうにかなるもんだ。

台湾のどこに行くかは決めなかった。
予約したのは頭2日間の台北のゲストハウスと、最終日の台北のゲストハウスのみ。
間の4日間は、行動を縛りたくなかったから、どうにかなるだろと思い予約はしなかった。
行く前は、多分台北に7日間いるんだろうなとぼんやりは思っていた。

飛行機が遅れ、18時頃台湾の桃園空港着。
入国手続きに少し手間取るが、無事入国。
台湾には台風がきていた。

行く直前にそのことを知り、この旅が丸つぶれになるかもと思ったが、
なんとなく大丈夫な気がした。
今回の台湾には、きっと行く意味があると思ったから。

空港で7万円を両替し、20914元を手に入れ、バスで台北市内に移動。
英検3級も落ちたし、英語なんて喋れる気してなかったけど、意外とどうにかなる。
もっと日本語が通じると思っていたが、思ったより通じない。
とにかく、I want to go to~と、我想去~を多用。
雨がすごいので地下街を歩く。
まず、サンダルを購入。
駅から近くのゲストハウスにチェックイン。6人部屋。
雨が少し治まってきたので、折りたたみ傘を差し、台北の街へ繰り出す。
日本でさえ迷うのに、台湾で迷わないはずもなく、完全に迷子に。
しかも雨と風がどんどん強くなってくる。
ゲストハウスのまわりはほとんどの店が閉まっていたが、少し離れると栄えた場所に出れた。安い魯肉飯とよく分からないスープを飲む。
その後、近くにあったBARに入ってみる。
日本人もいた。お店の人も日本語を話せる。
まだこの台湾の地に頭と体がついていってなく、何となくワイワイした雰囲気も違い、少し話して台湾ビールを2本飲み、早めに出る。
また迷う。
本当に迷った。大雨。
MRTの階段の上にいた女性に道を尋ねると、MRTに乗ったほうがいいと駅員のとこまで一緒に行き話してくれた。でもそんなに遠くには来てないはずだったので、I want to walkと言い張り、道を教えてもらい、どうにか無事ゲストハウスに戻る。
初日、とにかく雨と風と闇で台北の街はよく分からなかった。幸先悪し。
ずっとこんなだったらどうしようと思いつつ、疲れて眠る。

img_5858

img_5859

img_5860

img_5862

===================

9月18日(日)

昨日のBARの店員と、少し前からメールでやり取りをしていた台湾の女性に勧められ、淡水に向かう。
MRTで30分ほど。
日曜だからか、めちゃくちゃ人がいた。
屋台もたくさん。
いろいろ食べてみる。店員と話しても、中国語だとなかなか上手く伝わらない。
木陰で弾き語りをしている少年。
川沿いで空気椅子で動かないパフォーマンスをしている男性。
川を眺めるカップル。
屋台の前に並ぶ家族。
自転車を乗り回す日本人。

サンセットが有名らしく、川沿いに腰掛け眺める。
陽が落ちるまで、頭をリセットし、これからどう生きようか考えてみた。
陽が落ちるまでに答えを出すことに決める。
集中。
やりたいこと、作りたいもの、なりたい自分、生きたいところ、一緒にいたい人、現状、過去、未来。

かなり集中して考えたが、何もなかった。
今の自分には何もないことに気づいてしまったのだ。

では、今の自分にないもの、今の自分がいない場所、今の自分が出会ってない人、今の自分がやってないこと、
を見つけなければならない。
今の自分以外のものを見つける作業。

30年以上日本にいても何もない。
まだ2日目だが何となく台湾にもなさそう。
行く場所がない。
目的もない。

ここでどういう思考からだろうか、1つフッと頭に浮かんだことがあった。
台湾人の恋人を作ることに本気を出してみる。
何にもなかった自分の心が、台湾人の恋人ができた生活を想像したら唯一少しだけ動いたのだ。
今更になって恋愛なのか?
何もない今だからこそ恋愛なのか?
果たして台湾人なのか?
とか考えていると、もうすぐ日没。
あと少しで答えが出そう。
陽が沈む前に、絶対に答えを出す。
あと、10分20分。
集中。

すると、日没前に太陽が完全に雲に隠れてしまった。
そしてその後も太陽は表に現れずそのまま夜に。
答えを出す前に強制中断。
立ち上がり、その場を離れる。

日本に帰るまでにどうにかしたい。
帰ってから迷わぬよう。
藤野に行ったときみたいに。
1つの意志がほしい。
今は何もなさすぎる。

台湾に来たらもっといろんな価値観ががらりと変わると思ったが、そんなことはなかった。
もっとテンション上がりまくり興奮しっ放しかと思ったが、そんなこともなかった。
意外と冷静。
少年の弾き語りをしばらく聴き、少しブラブラし、台北に戻る。
早くも2日目が終わってしまった。
このままじゃまずい。
明日からどうしよう。
何となく日本にいる台湾人が勧めていたのもあり、高雄まで行ってみようかと思った。

今日このまま眠ってはだめだと思い、台北のクラブに行ってみることにした。
若者だらけだった。
酒を飲みながら何人かと英語とほんのちょっとの中国語で話したり、日本語話せる男がいてLINE交換したり、ほんのり踊ってみたり、警察が突入してきたりしたが、何かずっと心はモヤモヤしたままで、クラブを後にする。
コンビニの店員に駅の場所を聞くが、電車はまだ動いてないようでタクシーで帰ることに。
台湾人は結構極端で、めっちゃ丁寧に熱心に友好的に助けてくれる人と、「我不知道」ぐらいで終わる人といる。
今回のは前者で、仕事ほっぽりだしてタクシーの運ちゃんに話つけて、また会いにきてよ!って握手して手振って見送ってくれた。
台湾のご飯とタクシーと電車とサンダルは安い。
眠る。

img_5863

img_5871

img_5865

img_5868

img_5873

img_5872

===================

9月19日(月)

高雄が大雨っぽく、メールのやり取りをしていた台中の女性に聞くと雨は降っていないようなので、先に台中に寄って行くことにした。
夜暇なようなので、一緒にご飯を食べることになった。
台北の地下街で朝ごはん。おばちゃんが優しくしてくれた。
「好吃」と言ったら大喜びしてた。
発車まで1時間待ち、2時間かけて台中へ行く。
TRA。台湾の電車の中は寒い。17時過ぎ着。
駅前のゲストハウスにチェックイン。4人部屋、受付はホテルみたいでキレイなところ。
確か580元くらい。
女性は仕事後、家でご飯作ってから20時頃ホテルまでバイクで来てくれるようだ。
少し時間があったので台中の街をブラブラしてみた。
台中駅付近は割と廃れた雰囲気。
また迷う。
20時過ぎに彼女着。
LINEも直前に交換していたので、LINEで20分くらいやり取りしつつ、どうにかマックの前で待ち合わせることに。
マックの前に行くが、いない。
写メを送る。「どこですか??」
うろちょろしてると、道の向かい斜め右の方向から、首を傾けてこっちを覗き込みながら笑顔で近づいてくる女性が。
相手は30代でそんなかわいい人なんて来ないだろうと思っていたし、自分の前に人がいたのでその人を見てるのかと思ったけど、何だかきれいな人がどんどん笑顔でこっちに近づいてくる。
本人だった。
顔も知らないメールでやり取りしてた人と会うなんて初めて。台湾だからできた。
挨拶も早々に、ヘルメットを渡され、彼女のバイクの後ろに乗る。
すごい展開。なんだなんだ。
牛肉麺か炒飯か鍋の三択になり、何となく仲良くなれそうな鍋にした。
お店に入り、向かい合って座り、それぞれの鍋を注文する。

何を注文したかもはや覚えてないし、お互いほとんど食べる間もなくいろんなことを話した。
普段きれいな人を前にしたら緊張してしまいそうだけども、言葉が完全に通じないからかどんどん話せる。頑張って話さないとコミュニケーションが取れないのだ。
彼女はある程度の日本後は話せ、こっちの話す大体のことは理解できているっぽいけども、たまに伝わらなくて、そういうときは英語を使う。でも彼女はあまり英語ができないようで、頑張って中国語も使う。
気づけば僕らは、3ヶ国語を使って必死にコミュニケーションを取っていた。

日本が好きで、日本には3回旅行で行ったことがあるらしく、今は台中で日本語の勉強もしている。
日本で料理の勉強をしたいみたい。来年の1月か2月から、もしかしたら日本にワーキングホリデイで1年間行くかもとのこと。
東京か神戸か大阪か福岡。

このお店は先払いだったらしく、ちゃっかり彼女が払ってくれていた。
店を出て、近くの小さい夜市に行く。
タピオカミルクティー的なやつを買い、2人で飲みながら歩く。
こんなデートみたいなことしたのは、どれくらいぶりだろう。
鳥の足売ってる店に行ったり、臭豆腐美味しいんだよ~みたいな話したり。
何だかいちいちかわいいし、優しい。
本当に純粋に優しい。こっちも優しくなれるし、素直な気持ちになれる。素直に笑顔になれる。
こんな人間だっただろうか自分は。
出会ってまだたったの3時間。
次の日早いらしく、ホテルの前までバイクで送ってくれた。
2,3分話し、「またタイミングあったら会おう」と伝え、別れる。

ホテルに戻り、彼女のオススメの碳烤雞排をかじり、フルーツビールを飲みながら一日を思い出す。
この日の自分のメモにこんなことが書いてあった。
「好きとかじゃないけど、いや、今いる人類の中では一番好きかも。この旅の中でもう一度会いたい。」

激動の3時間。
急激に動き出した台湾3日目。

img_5877

img_5889

img_5892

img_5893

img_5894

===================

9月20日(火)

ゲストハウスで朝ごはん。ほぼホテルみたいなところ。
朝起きたらLINEが届いていた。
「おはよう!碳烤雞排が好きですか」

外に出ておじいちゃんがやってる靴屋でサンダルを購入。100元。
台湾のサンダルは革製が多くていい。多分暑いから履き心地を重視してるんだと思う。
元々調子の悪かったキャリーバックの持ち手がぶっ壊れ、折りたたみ傘をひっかけて引っ張ることに。
何故か彼女にはまた会える気がしたので、台中を離れ、台南と高雄に行くことにした。
電車でまず台南に。やはり電車は寒い。
学んでいたので、シャツを羽織る。

その後も何度かLINEが届く。
「こんにちは!昼御飯は何を食べた?」

「仕事が終わった。いい天気です」

「今天有去哪玩嗎?」

何となく気にしてくれてる気がしたので、僕はこう送る。
「もし今週また暇があったら台中で会いましょう!」

「いいですよ。金曜日と土曜日は休みです」

土曜日の早朝、台北から飛行機に乗らなければならなかったので、次の日が休みの木曜日に会うことにした。

やはり会える。また会える。

台南に着き、折りたたみ傘が折れる。
かついだ。
台南は、台北・台中と比べてもぐっと暑い。
台北と台中では暑さはあまり感じなかったが、台南はムワッとした。
予約はしないまま、調べたゲストハウスを目指す。
迷う。
いろんな人に聞きながら、16時頃ようやく到着。
2人の若い女子スタッフが出迎える。
日本語はほぼ通じない。
英語でやり取り。
一緒に泊まるスペイン人と20時頃夜市に行くようなので、同行することにした。
いろいろ喋ってると、日本人女子が現れる。
彼女もここに泊まっているらしい。まだ19歳。自分の年齢と比較し、ちょっと引く。
その後もぞろぞろ集まり、台湾人・スペイン人・日本人みんなで夜市に向かう。
タクシーとバイク。
結構大きい夜市。週に3回は開かれてるらしい。
すげえな台湾人。
日本よりも外の文化だ。よく店の外に席もあるし、そこら中で屋台が出てる。
暑いのに何でだろう。

みんなで買っては分け合い、いろいろ食べた。
その後、スペイン人がBARに行きたいといい、何故かオシャレなBARにたどり着く。
このスペイン人、おっさんかと思ったら2つ年下だった。
最後残ったのは、31歳のスペイン人と、32歳の台湾人と、33歳の私。
初対面の国の違う男3人で英語で話しながら薄暗い台湾のBARで飲む。
なかなか面白い状況だ。
あんま言ってること分かんなかったりしたけど、2人ともいいやつだった。
1時頃タクシーでゲストハウスに戻る。

なんか海外の一人旅っぽい一日。

img_5904

img_5906

img_5919

img_5924

img_5922

img_5923

===================

9月21日(水)

午前11時チェックアウト。
昨日屋上で干していた洗濯物をとりこむ。
男の台湾人は起きたらいなくなっていて、スペイン人は起きたと思ったらいなくなっていた。
19歳の女子と2人。彼女も高雄に行くらしく、一緒に行こうと言われ、ちょっと迷ったが行くことに。
33歳と19歳の日本人男女が2人、共に高雄に向かう。
ゲストハウスでもらったビニール袋を引っ掛けキャリーバックを引っ張る。
駅で弁当を2つ買い、電車で食べる。
彼女は19歳だけど19歳な感じはなく、いろいろとお互いのことを話しながら高雄へ。
近くにIKEAがあるらしく、一緒に行くことに。
壊れたキャリーバックと同じキャリーバックを購入。
何故か日本の倍くらいした。3490元。
そのあとIKEAの隣のスーパーに行き、アップルサイダーと鳥の足とハチノスを食べる。
なんか最初歳も離れてたしちょっと話しにくかったが、気づくと仲良くなっていた。
サンダル3足目を購入。
一人旅であんまり日本人同士一緒にい過ぎもよくないなとお互い思い、ここで別れる。

キャリーバックを引っ張り、歩いて高雄に戻ることにした。
今回の旅で観光地っぽい観光地は、淡水以外ほぼ行かなかった。
観光地より、台湾の街を、台湾の暮らしを知り、見たかった。
どのくらいの距離があるか分からなかったが、真っ直ぐ行けば着くことが分かり真っ直ぐ歩く。
が途中、左に海の気配がし、曲がってしまい、迷う。
ようやく辿り着いた海の手前には柵がたてられ、海にも触れられなかった。
デパートに行き、道を聞く。
informationの女子4人がかりで道を教えてもらい、駅に向かうことに。
高雄駅は相当遠いらしく、一番近い駅を教えてもらった。
ついでにゲストハウスも調べてもらった。
どんなゲストハウスか分からなかったが、そこに向かうことにした。
デパートを出て、歩き、迷う。
本当に道がだめだ。
気づくと夜市に辿り着いていた。どこにでもあるな。
道沿いにずらりと屋台が並ぶ。
屋台のおっちゃんやコンビニの男に聞き、ようやく駅へ。
高雄のロッカーに置いたキャリーバックと、新しいキャリーバックの荷物を入れ替え、古いものはゴミ箱に詰め込んだ。
ロッカーの開け方よくわからず、優しい男性に助けてもらった。いいやつ。

ゲストハウスの最寄り駅に着く。
雨。
雨の中、ゲストハウスを探す。
迷う。
屋台のおじさんが熱心に調べてくれて、どうにかたどり着く。
予約はしていなかったが、チャイムを押す。
英語で返事が。
「reservation?」的なことを聞かれたので「No」と答える。
「うちは、reservationが必要だ」的なことを言われ、ちょっと諦めかけるが、「Japanese?Korean?」と聞かれ「Japanese」と答えると、「あ、日本人ですか」と日本語で話し始めた。
「ひとまず開けますね」となりドアが開き、5階までのぼる。

ドアが開き、好青年風の男性が現れた。
中に入り話を聞くと、どうやら今は普通のゲストハウスではないらしく、完全予約制の宿泊施設のようだった。客も誰もいない。
でも今回は特別に泊めてくれることになった。
部屋を掃除するから外でご飯を食べて待っててほしいと言われ、近くに食べに行く。
よく分からぬ麺と空心菜を食べ、戻る。
ここから2時間くらい話し込んだ。
すごいいいやつだった。
歳は2つ上。
話してるうちにどんどん仲良くなり、酒飲むの?って話になり、飲み放題のクラブに繰り出すことになった。
オーナーと2人、タクシーで向かう。
なんか意外とちゃんとしたクラブで、入ろうとするとセキュリティに止められた。
「No」
どうやら半ズボンでは入れないらしい。
ぬ~ってなりながら宿泊先まで戻り、ダルダルの9分丈に履き替え、再チャレンジ。
「Good」
セキュリティが親指を立てる。
いざ、クラブへ。

いきなりテキーラで乾杯。
そこから飲み放題ということもありガツガツに飲んだ。
台湾人はおとなしいイメージだったが結構みんな飲み踊る。
割と若めの人が多い中、一緒になって踊ったりもしてみた。
何人かと話したがなかなか言葉が通じない。
日本語が通じず、英語も通じず、中国語も話せないとなると、もはやコミュニケーションが難しくなる。
二人とも結構に酔っ払い、あっという間に朝を迎える。
高雄の朝。いい朝。
2人で近くのお店で朝ごはんを食べる。
日本にはあんまりないけど、台湾は普通に外で食べる。
そこからタクシーで宿泊先に戻り、倒れこみ眠る。
彼は明日午前11時から病院と言っていたが大丈夫だろうか。
不安に思いながら眠る。

img_5925

img_5930

img_5931

img_5932

img_5933

img_5935

img_5937

img_5949

===================

9/22(木)

10時半頃起きる。
彼の気配はない。
準備をし11時に自分の部屋を出ると、彼が部屋から出てきた。
「病院は?」と聞くと、「まあ、なんとかなるよ」とゆったりと準備を始める。
「じゃあ、朝ごはん食べにいこっか」と言われ、「病院は?」と聞くと、
「まあ、なんとかなるよ」と言われた。
また、普通に外で朝ごはんを食べる。サンドウィッチ。
病院のことなどなかったかのように、ゆっくりと朝食を食べるオーナー。
連絡先を交換し、また必ず会おうと約束し別れる。
また台湾に行ったら、必ず会いにいくと思う。
もしかしたら今度日本に来るかもとのこと。借りは返そう。
突然の訪問だったのに良くしてくれて、最高にいいやつだった。
友達ができた。

彼にバスの方が安いしオススメだと言われ、バスで台中に向かう。
彼女に会いに。

バスで3時間。眠っているうちに着いた。
泊まるところを決めてなかったので、駅近くで探す。
この前と違うところにしようといろいろ見てみたが、ホテルとなると結構高く、しかも台中駅の周りは怪しいホテルが多く、結局前と同じところにした。
580元くらい。4人部屋。

19時過ぎに、彼女がバイクで到着。
ほんの少し遅れただけなのに、入口を出た瞬間にかけ寄ってきて、「遅れたごめんなさい~」と笑顔で近づいてきた。
再び、彼女のバイクの後ろに乗り、夜市にいくことに。
でもお腹すいたーって行ったら、少し遠いからって先に近くで牛肉麺を食べることにした。
食べるときはやはり外。台湾のご飯屋さんは飲み物が置いてないとこが多く、水も基本出ない。
ネットの情報では、置いてある場合、店の冷蔵庫から勝手に取っていいと書いてあった気がしたから、勝手に取って飲んだら、あとからあれは売り物じゃないんだよってお店の人に彼女が言われたらしく、「え~~」って二人で笑いながら、お店を後にした。

逢甲夜市に到着。
バイクを停め、2人でブラブラ街を歩く。
お腹いっぱいだったけど、彼女はどんどんいろんなものを食べさせようとしてくる。
フルーツやえび串や飲み物とか、気づくとパッとお金まで払ってしまい、出すよって言っても、「お客さまだから」って言って出させてくれない。
「お客さまじゃないよ、友達」って言っても、「今度、東京行ったときよろしくお願いします~」ってニコニコしてる。
お金貯めてるはずなのに。

しばらく歩いて疲れてきたので、ショッピングモールみたいなとこの椅子に座って話す。
日本と台湾のクリスマスの違いとか、女性の恐さの違いとか、日本語の勉強もしたり、実は普段は化粧しないんだーみたいなこと聞いたり、一緒に写真撮ったり、、、
何だこれは。
完全にデートではないか。
日本でもこんなデートっぽいことは本当に久しくしていない。

結局0時半頃まで話し、さすがに彼女が眠くなってきていたので帰ることにした。
後から知ったけど、仕事の日は朝5時とかに起きてるようだった。

今日の約束をLINEでしたとき、木曜か金曜どっちにしようかとなり、冗談っぽく「両方!」と伝えていたが、本当に両日会うのか決めてないまま、またホテルまで送ってもらいサラッと別れた。
約束はしてないけど、また明日も会える気がした。

部屋に戻り、今日のことをメモに取る。
何でこんなに優しくしてくれるのか、
誰にでもこんなに優しいのか、
日本が好きで日本から来たゲストだから特別に親切にしてるのか、
新しくできた友達として優しくしてくれてるのか。

その日のメモにはこう書かれていた。

「これはもう好きですな」

台湾6日目が終わる。

img_5962

img_5961

img_5968

img_5969

img_5971

img_5975

===================

9/23(金)

朝起きるとLINEが届いていた。
「おはようございます。悠さんは今寝ていますよね」
「良い一日を」

躊躇うことなく、もう一度会いたいことを伝える。
すると。

「いいよ!」

13時頃、再び宿泊先までバイクで迎えにくる。
お昼ご飯は、香港料理を食べにいくことに。
食べきれないくらいたくさん頼んで、今日は全部俺が出すね。
って伝えてたのに、トイレにいってる間にお会計されてた。
普通、日本では男がやりそうなことなのに、これは台湾では普通なんだろうか。

その後はデザートを食べに行った。
名前は忘れたけど、有名なお店らしく、お客さんの列もできてた。
彼女も初めてくるみたい。
まず、パッションフルーツとウーロン茶のアイスを2人で食べる。
ここはさすがに出したけど、すごい申し訳なさそうにしている。
その後、かき氷も食べようってなって、彼女はマンゴーがいいって言ってたけど、値段を見たら急に他のにしようかなーみたいになってたり、なんだろう。
「優しさ」で人を好きになったことなんて今までなかったけど、彼女の優しさはすごくきれいで、こっちも優しく純粋な気持ちにさせられる。不思議な優しさ。

大きな四角いマンゴーかき氷を、2人でザクザクして食べる。
ここでもいろいろと話す。
彼女が日本に来たとして、神戸が一番可能性が高いようだ。
東京は家賃も高いし。神戸か。
全然知らなかったけど、外国人が日本で家を借りるのはなかなか難しいらしい。
寮やゲストハウスなら大丈夫だけど、普通に家を借りるには日本人の保証人がいるらしい。
さすがにそれは無理だが、どうにかして力になってあげたいと思った。
いろいろ考えた挙句、「いざとなったらうちおいで」と気づくと口が言っていた。
彼女は笑いながら「いやいや」みたいな感じだったけど、そのときは多分ちょっとだけ本気で言っていた。
恋人であろうと友達であろうと、人と住むのなんて絶対無理だと思っていたけど、もしかして彼女とならと、そのとき少し思っていた。
そう思えたのは、彼女が台湾人だからかもしれない。
人と完全に分かり合えたことは、生まれて今まで一度もない。
本当に信頼している人はいないし、自分の全てをさらけ出せる人もいない。
他人とは、一定の距離を保って生きてきた。
これからもきっとそう。
でも彼女は台湾人で言葉が完全に通じないから、自然と一定以上の距離が保たれ、不思議とずっと一緒にいても疲れない。
通常は存在しない自然と生まれた一定以上の距離を、お互いに埋めようとお互いで距離を縮める。
この距離感がいつもはない新鮮な刺激にもなりつつ、心地がよい。
彼女を意識し始めてから、ちょっとずつ何話していいのか分かんなくなってきてしまったのだが、そんなとき必ず彼女はこちらに話しかけてくる。

夕方になり、台湾って公園少ないよねという話から、公園に行くことになった。
バイクで向かう。
大きい公園に到着すると、おじさんやおばさんが台湾の古い音楽を演奏していた。
デパートに寄り、コンビニでフルーツビールを買い、公園で座って演奏を聴く。
人もたくさん集まっていた。
明日の朝には台湾を出発する。
なんだかこの演奏が、この旅のエンディング曲のように聴こえた。

何で台湾なのか。
何のために台湾に来たのか。

これは旅のマジックなんだろうか。

このとき、その答えはもう完全にこのためだったんだと思い込んでいる自分がいた。

だんだんと暗くなってきた。
普段だったら絶対思わない。
人生でたった一度しかしたこともない。

でもこのとき思った。
もしもこのあといい雰囲気の緩やかな曲が演奏されたら、そのとき言おう。

しかし暗くなるにつれ、どんどん演奏のテンションはグイグイご機嫌な方向に上がっていく。
おじさんたちがワイワイ踊り出した。
まだ言うなってことかな。

でもこれだけは伝えた。

「我超喜歓你」

これがどんなニュアンスなのかは分からないけど、
そして発音が下手で何度か聞き返されたけど、
「ありがとー」って言われた。

21時半頃、公園を出た。
バイクを停めてある場所まで道を渡ろうとしたら、
横からバイクがきて、彼女を止める。
そしてバイクが通り過ぎた後、思わず彼女の手を握り道を渡った。

5秒。

33歳になり、それなりに恋愛経験もあるはずだけども、
この5秒は他のどんな行為よりも緊張した。

バイクに乗り、台北行きのバス乗り場に向かう。
彼女と過ごした3日間。
ずっと彼女の後ろに乗り、目の前にいる彼女をずっと抱きしめてしまわないよう抑えていた。このときもそう。
10時20分。
バス乗り場に着く。
出発は10時半。
今度こそお別れ。
明日にはもう彼女はいない。

「じゃあ、私は帰るね」と言い、帰ろうとしたとき、
僕は両手を広げた。
彼女は少し戸惑いながら受け入れる。

そんなつもりなんてなかったけど、
なんか顔がぶつかりそうになり、ちょっと変な感じになりながら、
彼女をギュッと抱きしめた。
このとき何を言ったか覚えてないけど、彼女の体を離し、
彼女が去ろうとするときに、
「I Love you!」と投げかけ手を振った。
何故か口から出たのは英語だった。

2時間かけ、台北に到着。
朝起きれないと思ったから、コンビニでカップラーメンを買いゲストハウスで食べ、
シャワーを浴びて、空港行きのバス乗り場にそのまま向かった。
ゲストハウスの人もいい人で、バス乗り場まで送ってくれた。
早朝5時半出発。

宿泊先を最初の2日とラストだけ決めたのは大正解だった。
その日の思いつきで行動できたし、もし全ての日の宿泊先を先に決めていたら、
きっとこんなことにはならなかった。
全てが予想外だったけど、全てがうまく回っていた。

久しぶりに感情を動かした。素直になれた。
3年前東京に戻ってきてから初めてかもしれない。
言いたいことを言い、行きたいとこに行き、
やりたいことをやり、動きたいように動いた。

何にも縛られず、自由に。
こんなに自由なのは本当に久しぶりだ。
でもこれでは生きていけない。
まだ台湾を全て見れたわけではないけれど、
台湾で働くというのはなかなか現実味のない話だなとも思った。
まず中国語ができないと話にならないし、
さらに中国語で仕事ができないと話にならない。

台湾に来たら、絶対にここに住みたいって思うようになるだろうな
と覚悟していたが、実際にそうはならなかった。
台湾の街にそこまでしっくりはこなかった。
もちろん嫌いじゃないし、好きだけども、日本とそんなに大きな違いはないなと。
南の方は結構空気も悪く、少し喉が痛くなったりもした。
さあ、どうしよう。
もう少し、何か決心がつくと思っていたが、これからどうするかまでは決められなかった。
さすがに一週間いただけじゃ分からないのかもだけども。

ただ今思うことは、彼女ともっと一緒に時間を過ごしてみたい。
もっと彼女のことを知りたい。

彼女にメッセージを送った。
「優しくて、よく笑ってる●●が大好きです。優しくしてくれてありがとう」

次の日、日本に到着したときに、返事が届いていた。

中身は長文だったけども、
最後にこんな一文があった。

「悠さんを思っているよ。」

彼女は1月5日、日本にやって来る。

img_6026

img_6023

img_6027

img_6030

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です