「私は歩いた」

 

私は歩いた。

どこに向かって歩いているのだろう。

敵はいない。
味方もいない。
時代は錯誤している。
今年で私は38歳だ。
今、私はどこの国の地を歩いているのだろう。

歩き始めて、もう3年が経つ。
いや、正確には分からない。感覚的には3年ぐらいだと思う。
あれだけ研ぎ澄まされていた私の感覚も、これだけ歩いていれば鈍くなってくる。
もしかすると、5年かもしれない。
もしかすると、まだ3ヵ月かもしれない。
もしかすると、私は歩いていなかったのかもしれない。
もしかすると、ここはもう地球ではないのかもしれない。

もはや何が正解で、何が本物か、私には一切分からなくなってきている。
それでも私は歩く。

靴の底はペロペロに擦り切れ、
地面の小石の尖った感触が、足の裏に直接、伝わってくる。
もう、痛みはない。
逆に、平らな地面を歩いたときの方が、
自分の足の裏に穴が開いていることを実感してしまい、痛みを感じる。

今日は、虫を食べた。

草を食べた。

川を飲んだ。

星が降ってきた。

よけた。

当たるととても痛い。

今日はよけられた。

今日はいい日だ。

 

今日はいい日だ。

 

 

 

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