日曜日の14時頃。
渋谷の街を歩いていると、歩から電話があった。
かかってきたときは驚いたが、以前よりも驚きは少なくなっていて、
意外と冷静に電話に出れたことに逆に驚いた。
ほんとにふとしたときに考えたりはしたけど、別れて12年。
ようやくといっていいほどほとんど考えないようになっていた。
もしこれが台湾に行く前だったらまた違ったのかもしれない。
歩きながら電話に出た。
何も話さない。
何だか雑音は聞こえる。
もしもーし。
雑音。どうやら向こうも街にいるようだ。
もしかして近くに!?
もしもーし。
返事がない。
これは、間違ってかけてしまったのだろうか。
しばらく耳をすますが、赤ちゃんのような声と雑音しか聞こえない。
赤ちゃん。
赤ちゃん
赤ちゃんだ。
そうか。赤ちゃんいたのか。
気づいた瞬間も思ったより冷静で、ショックなことはなく、
逆に少し安心したというか嬉しくさえなった。
そうか、結婚してて子供もいるんだ。
まあ、同じ33歳だもんね。
いて当然。
切らなきゃなと思いつつも、しばらく聞いてしまっていた。
ほんとにまだ小さいであろう、わずかに聞こえる赤ちゃんの声。
そして一瞬だけ小さく聞こえた彼女の声。
「もう~、返して~」
昔と変わらない口調、変わらない声。
何だか安心。
夜になってメッセージを送ってみた。
幸せに暮らしてる?
「うん😄」
おめでとう。幸せで何よりです。
良かった。幸せで。

