2013

 

気付けば
2013年12月31日。

 

9月に藤野から渋谷、田舎から都会に引っ越してからの4ヶ月は、
人生で最も早い4か月だった。

まさに駆け抜けた。

日々を振り返る余裕もなく、
何かを作るでもなく、
いろいろなことを考える余裕もなく、
真っ直ぐと目の前にある道を駆け抜けていった。

 

時間はたっぷりあった。
心にも余裕があったし、
金銭的にも、以前に比べたらほんの少しだけど落ち着いた。

それでもこの都会という場所は、
ものすごいスピードで一日を終わらせる。

この4ヶ月は、このスピードについていくので精一杯だった。

しかし、日々をただ単にこなしていった訳ではない。
この4ヶ月は、社会と自分を擦り合わせるのに必要な時間。
SCRAPという会社を知る時間、吸収する時間、自分に浸透させる時間、
自分を浸透させる時間として、必要不可欠な時間。

だいぶ社会にも慣れてきた。
社会といっても、7月からこの会社でボランティアスタッフを始め、
11月から30歳にして正式にアルバイトとなり、
というかこの会社は社会という輪の中でも、ものすごい端っこの、
社会だか社会じゃないか微妙だけどギリギリで社会の輪の中に入れてもらえたような
何だかそんな空気のあるところなので、ここを社会と言っていいのか分からないし、
そもそもアルバイトだし、といったところもあるのだが、
それでも社会的には完全に社会な場所であるので、
ようやく、社会に一歩足を踏み入れたというようなところまでは戻ってきた。

でも、自分の中では戻ってきたという感覚はなく、
新たな社会に足を踏み入れた気持ちの方が強く、
30歳ながら20歳のような心の状態で日々を生きている。

 

そして来年から、また少し状況が変わろうとしている。

10月の終わり、
この会社のとある人物から「アルバイトにならないか」と誘いを受けたとき、
僕は返事に迷った。

埋もれたくなかったから。

もちろんこの仕事は単純に楽しいし、アルバイトになればちゃんとした時給で給料を貰えるし、そのぶん力仕事も減らせて、いい事もたくさんあるのだが、
一度アルバイトになってしまったら、このままずっとアルバイトのままなんじゃないかという不安がよぎり、それだったら自由に動けるボランティアスタッフのまま切り込んでいくスタンスの方が日々戦っていけるんじゃないかという気持ちもあり、
その旨をそのまま伝え、返事を少し待ってもらおうとしたところ、
新たな道を提示された。

理由を聞いても、
「暇そうだから」「フラフラしてるから」「雰囲気」としか返ってこなかったが、
それでも最後に聞いた「誰でも誘うわけではない」という言葉で、大体を理解した。

そもそもこの日まで、この方とほとんど会話をしたこともなかったけれど、
多分、初めて会ったあの瞬間、ろくに会話もせずふざけたやり取りだけで終わった
あの瞬間に、大体の事は分かり合えていたような気がする。

 

人生で数回しかないけれど、僕は会った瞬間に、
「この人とはすごい仲良くなれる」「長い付き合いになる」と分かることがあって、
この会社に関わるようになってからのたった半年で、それが2回もあった。

その2回が、両方ともこの会社の人間だったことは
自分の中で全く驚きはなく、
やっぱり間違ってなかったんだと、
自分の選んだ道の正しさへの再確認となった。

 

そして来年、これの3回目があると、信じて疑っていない自分がいる。

この会社で、まだ会ってない人間が一人いる。
実際、顔は何度か合わせているが、自分の中ではまだ会っていない。
というか、会わないようにしている。
自分でもよく分からないが、その3回目を意識し過ぎてか、
今じゃない今じゃないと、ここぞというタイミングを見計らい過ぎて、
意識的に、半分無意識に、避けてしまっているのだ。

でも意識するのは当然で、
この人がいなければ、今の自分はここにいない。
この人がいるから、ここにきた。
この人と共に作り、共に戦うために、自分は動き出したのだ。

一度、社会に見切りをつけた自分にとっての、最後の希望。

意識して当然。

そして3回目になって当然。

そう信じ切ってしまっているのだ。

 

 

さて、
この半年戦えなかった分は、来年戦う。

早くステージに上がりたい。

早く作りたい。

早く吐き出したい。

早く生み出したい。

作らなければ、生み出さなければ、戦わなければ、
ここに来た意味はない。

 

 

とんでもない2014年になりますように。

自分以外は平和でいいけど、自分には平和は訪れませんように。

たくさん戦えますように。

落ち着きませんように。

たくさん笑えますように。

 

 

お、たくさん笑えますように
という言葉が出てきた。

 

楽しさとも戦えてるということだ。

 

少し大人に。
少し人間に戻れた。

 

2013年。

 

 

さらば!

 

 

15年前の彼女

 

今から15年前。
高校に入学したての5月。
学校のすぐ側に、ある女子校があった。
その女子校とは最寄り駅が同じで、
毎日、そこの女子生徒たちと顔を合わせていた。

とある日の学校帰り、僕はできたばかりの友人たちと原宿を練り歩いていた。
すると、見慣れた制服の女子たちが目に入る。
「あー、○○校じゃん。いえーい。どうもどうも。」
そんな風にふざけて声をかけながら、僕らはその女子たちとすれ違う。

その日、友人たちと何をしたかは覚えていないが、
というか当時は特に目的もないまま
街へ繰り出してはダラダラと日々を過ごしていたので、
その日も恐らく特に何もしないまま夜になり、
僕らは駅のホームへと向かっていった。

そこに、さっきすれ違った女子たちのうちの一人が、
ポツンと立っているのを見つける。
確か、僕らは7人ぐらいだっただろうか。
男は、自分たちが多勢だと、調子に乗る。
みるみるうちにその女子を囲み込み、多方向から攻め立てる。
聴くところによると、その子は、僕らより一つ年上だった。

僕のその子への第一印象は、
「かわいい」でも「きれい」でも「ときめいた」でも何でもなく、
「すげえなこいつ」、だった。

電車内で7人の男に囲まれながらも、全く物怖じせず、
「何だよおめーら、うるせえなぁ」的な感じで鼻で笑いながら、
僕らを子供扱いするかのように対処していくその姿は今でも忘れられない。

僕は、たった一瞬でこの人間にものすごい興味を持ち、
気付くと僕らは、あっという間に付き合うことになっていた。

 

そしてあっという間に一ヶ月で別れを告げられ、
僕らはあっという間に恋人ではなくなった。

 

それから15年。

僕らは仲良しという訳ではないが、ごくたまに連絡を取り合ったり、
ごくごくたまに会ったりもしながら、何だかんだで15年関係を続けている。

 

もしもあの日、僕らの帰る時間が3分遅かったら
原宿であの道を通らなかったら
駅のホームに逆の階段から上っていたら
人と人との出会いなんてほとんどが偶然だけれど、
それでもその「もし」があったら、その「もし」がなかったら、
この15年は、0だった。

 

とかそんなことを思い返しながら、
逗子に住む、15年前の彼女の写真を撮りにいってきた。

 

 

彼女はいつまで経っても年上で、
いつまで経っても追いつけない。

あれから15年。

 

僕は、彼女のことを一度たりとも追い越したことはない。

他の人にはいつか追いつける気もするけど、
彼女にだけは一生追いつけない。

ずっと前にいて、ずっと上。

 

でも、お互い30を超え、久々に会って話をしてみたら、
何だかちょっとだけ同じようなことを考えていたりして、
少し嬉しかった。

 

 

 

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